血の雫
「悪かったね馬鹿野郎で」
教室内に響いた、よく通る声。
その声を、あたしたちが聞き逃すはずなかった。
だって、今話題の中心にいた人物なのだから。
「ドロップ……!?」
「ただいま、アキナ」
教室の前の入り口に立っているのは、紛れもないドロップだった。
だけど、その容姿は前と異なっていた。
前のドロップは、銀髪に青い瞳の人間離れしていた見た目だった。
だけど今目の前で笑っているドロップは、人間離れしていない。
艶のある黒髪に、色素の薄い茶色の瞳をしていた。
「ドロップ……!」
あたしは立ち上がって、ドロップに抱きついた。
そして一目も気にせず大号泣した。
「うわああああん!
どこ行っていたんだよォ馬鹿!!」
「ごめんごめん」
泣いているあたしとは正反対に、ドロップは笑っていた。