血の雫
「問題?」
「うん…。
僕人間になったのは良いんだけど、人間界に知り合いいないからさ。
住む場所…ないんだよね」
あたしはキョトンと首を傾げた。
そして、ドロップの柔らかい頬をつまんで両方に引っ張った。
「な、なひするんだほ…」
「そのことは心配ないわ。
引き続きあたしの家に泊まりなさい。
どこか行くなんて、許さないわよ?」
「…ありがとう」
あたしたちは笑いあう。
そこへ橋本くんの控えめな「あのー」がはいった。
「つまり、だ。
ドロップは引き続き、俺らのクラスメイトなんだよな?」
「そうなるね。
名前は変わらないから…」
ドロップが笑った瞬間、さっきの静けさが嘘のようにワァッと拍手が湧いた。
「改めてよろしくな!」
「「「よろしく!!」」」
「うん、よろしくね皆」
良かった…ドロップが戻ってきてくれて。
あたしはこぼれていた涙を拭って、ドロップへ拍手を送った。