血の雫
☆秋奈side☆
部屋を出たあたしは、真っ直ぐ自室へ向かい、床に座りこんだ。
あたし、
木之上秋奈(きのうえ・あきな)。
近くの共学高校に通う2年生。
両親は仕事で海外へ行っている。
それが決まったのが、丁度あたしの高校入学と同時だったから。
あたしは折角受かった高校を捨てたくなくて、現在は1人暮らし。
最初は寂しい部分もあったけど、最近は慣れてきた。
慣れてきた矢先の出来事だった。
いつものように暑い中帰宅していると。
小さな子どもたちが一斉に公園から出て来て騒ぎだした。
あたしは不思議に思って、子どもたちとすれ違うように公園へ入った。
公園にある、シンボルのように大きな木の下。
そこであたしは見つけたのだ。
傍に大きなキャリーバッグを置き、座りこんで苦しそうに荒い息を繰り返している彼。
夏特有の生暖かい風に靡く銀色の綺麗な短い髪。
全身黒い服で、パーカーを被っている。
…正直言って、かなり怪しい人物だ。
てか何で、こんな所にいるわけ?
熱中症かなぁ?