血の雫
周りにはあたししか人がいない。
見捨てることなんて、あたしには出来ない。
てかそれは人としてどうかと思う。
だからあたしは、話しかけてみようと思う。
話しかけてみると、彼は薄っすらと瞼を開いた。
綺麗な宝石みたいな青い瞳が、あたしを映していた。
外国人かな…凄くかっこいいし、ミステリアスな雰囲気が素敵。
彼はふっと目を閉じ、気を失ってしまったようだ。
あたしは迷った末に、自分の家へ連れて帰ることにした。
額を触ったら熱めだから、きっと熱中症。
木の下がいくら日陰とは言え、そのまま放置は出来ない。
彼はとても軽かったから、女のあたしでも背負って帰ることが出来た。
家が近くて、本当に良かったと思う。
お母さんの部屋へ連れて行き、タオルケットをかけてあげる。
彼は規則正しい呼吸を繰り返していた。
眩しいだろうから、カーテンはレースのみ閉めてあげる。
熱中症かもしれないから、冷たいタオルでも持って行ってあげようかな。
起きる気配もないしね。
あー、家に両親いなくて良かったかも。
いくら人助けとは言え、男を家になんて呼べないからねー。