血の雫










周りにはあたししか人がいない。

見捨てることなんて、あたしには出来ない。

てかそれは人としてどうかと思う。

だからあたしは、話しかけてみようと思う。






話しかけてみると、彼は薄っすらと瞼を開いた。

綺麗な宝石みたいな青い瞳が、あたしを映していた。

外国人かな…凄くかっこいいし、ミステリアスな雰囲気が素敵。





彼はふっと目を閉じ、気を失ってしまったようだ。

あたしは迷った末に、自分の家へ連れて帰ることにした。

額を触ったら熱めだから、きっと熱中症。

木の下がいくら日陰とは言え、そのまま放置は出来ない。

彼はとても軽かったから、女のあたしでも背負って帰ることが出来た。

家が近くて、本当に良かったと思う。






お母さんの部屋へ連れて行き、タオルケットをかけてあげる。

彼は規則正しい呼吸を繰り返していた。

眩しいだろうから、カーテンはレースのみ閉めてあげる。




熱中症かもしれないから、冷たいタオルでも持って行ってあげようかな。

起きる気配もないしね。

あー、家に両親いなくて良かったかも。

いくら人助けとは言え、男を家になんて呼べないからねー。








< 15 / 141 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop