血の雫
第2章
★躊躇い
★ドロップside★
目覚めて、僕は溜息をついた。
そうだ。
人間界にいるんだ。
何で吸血鬼界にいるはずの僕が、こんな所にいるんだか。
そういや、お腹空いたな。
…何食べようか?
吸血鬼界にいた時は、ルカさんがご飯を作ってくれていたから。
僕はご飯なんて作れない。
てか、食べるような食材が僕には取れない。
ちなみに僕たち吸血鬼が食べるご飯の話は、しないでおく。
あんまりベラベラと話せるようなものではないから。
ルカさん、というのは…代々ムーンライト家に仕える、人間界でいうメイドみたいなもの。
結構吸血鬼界の中でも1位2位を争う美人だ。
吸血鬼界の女は基本美人だけど、ルカさんはまた別なんだよな。
「ドロップくん」
ひょこっと扉を静かに開けて顔を出したのは、先ほどから話している黒髪の女。
そういや名前を聞いていないや。
…別にどーでも良いことだけどね。