血の雫
第1章
★父さんに呼ばれて
僕の頭上には、大きな満月が輝いている。
僕はそれを、ぼんやりと眺めていた。
もう、涙は消えている。
大丈夫、もう泣かない。
決めたもんね。
「ここにいたのか、探したぞドロップ」
「父さん?」
僕は寝転んでいた上半身だけ起こして、後ろを向いた。
僕の父さんが、僕を真上から見降ろしていた。
「どうしたの?」
「ドロップ、最近暇そうじゃないか」
暇、ねぇ。
うん、確かに最近暇だな。
前はしょっちゅう出掛けていたけどね。
「どうだ。
お前もムーンライトを卒業したんだ。
一人旅に出も出掛けてみないか?」
「一人旅ぃ?」
何を言い出すんだ父さんは。
僕は首を傾げた。