血の雫








「……ンッ!?」




思わず僕は声を出していた。







お、

美味しい……。





「どう?」




不安そうに聞いてくる女に向かって、僕は初めて笑みを見せた。




「とても美味しいです!」

「そう?
良かった!
人に食べてもらうってことなかったから、不安だったんだ。
お口に合って、良かった!!」




僕は夢中で“おむらいす”と呼ばれる物体を食べ進めていく。

中に入った粒々は、トマトの味がして、僕好みだった。




「中に入っているのは何ですか?」

「チキンライスだよ」

「ちきんらいす……?」

「うん。
白いご飯に、ケチャップを絡めたんだ」

「けちゃっぷ?」

「トマトから作られる調味料だよ」




トマト。

血が吸えない僕の、大好物だ。








< 20 / 141 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop