血の雫
「……ンッ!?」
思わず僕は声を出していた。
お、
美味しい……。
「どう?」
不安そうに聞いてくる女に向かって、僕は初めて笑みを見せた。
「とても美味しいです!」
「そう?
良かった!
人に食べてもらうってことなかったから、不安だったんだ。
お口に合って、良かった!!」
僕は夢中で“おむらいす”と呼ばれる物体を食べ進めていく。
中に入った粒々は、トマトの味がして、僕好みだった。
「中に入っているのは何ですか?」
「チキンライスだよ」
「ちきんらいす……?」
「うん。
白いご飯に、ケチャップを絡めたんだ」
「けちゃっぷ?」
「トマトから作られる調味料だよ」
トマト。
血が吸えない僕の、大好物だ。