血の雫
「僕トマトが好きなので、美味しいです!」
「良かった!
あたしもオムライス大好きなんだ。
トマトも美味しくて大好きだよ」
僕は夢中で食べ進めた。
目の前で幸せそうな顔で微笑む女も、安心した様に食べて行く。
「そういえば自己紹介していなかったね。
あたし、木之上秋奈。
童顔で背も低めだけど、高校2年生だよ」
「アキナ…?」
「え?
い、いきなり呼び捨て?」
何故かアキナは顔を真っ赤にした。
「だってアキナも、僕のことドロップくんって呼ぶでしょう?」
「くん付けじゃない…。
ま、まぁ良いよアキナで」
「じゃあ、僕のこともドロップって呼んでも良いですよ」
「お、男の子呼び捨ては恥ずかしいなぁ。
でも、良いかな…ドロップ」
アキナが僕をドロップと呼んだ瞬間、ドキンッとした。
…よくわからない感情が、どうやら僕には生まれたらしい。
でもアキナ。
僕らは今日でお別れだよ。
アキナの血、僕が吸ってあげるから。
僕は照れたように笑うアキナの首筋を、ジッと見つめた。