血の雫
「どこへ行くのさ」
「フッフッフ」
父さんは突然、怪しく笑いだした。
…うわー……。
嫌な予感しかしないなー……。
「何を隠そう!」
「隠してないじゃん」
「人間界だ!」
…思考停止中……。
「はあぁぁああ!?」
誰もいない広場に、僕の叫び声が響いた。
「な、ななな…何でひんげんかい!?」
「ひんげんかいとは一言も言っていないぞ。
わたしが言ったのは、人間界だ」
「な、何で人間界!?」
ムーンライトで散々習った。
人間という生き物の怖さを。
父さんもムーンライト出身のはずだ。
人間の怖さを習ったはずだ。
それなのに…何で!?