血の雫







「朝ご飯出来たから、行こう」



アキナの後を追い、僕は“りびんぐ”へと向かった。

テーブルの上には、四方が茶色く真ん中の白い、四角い物体があった。

僕は椅子に座り、その不思議な物体を眺めた。




「ドロップは朝、パン派?ご飯派?」

「朝?」




僕、朝は寝ているから、朝ご飯と言う存在は知っていたけど、食べないなぁ。

前に人間界に来た時も、朝ご飯は食べなかったから。

“あの子”が朝ご飯を食べないで学校に行くような子だったからなぁ。




「朝ご飯はいつも食べていないよ」

「そうなの?
朝食べないと、一日元気でいられないよ」

「そうなんだ……」




僕は“朝”ということ自体に元気になれないんだけど。




「アキナは何派なの?」

「あたしはパンだよ。
ドロップの前にもあるでしょ、パン」




へぇ、これがパンか。

名前は知っていたけど、実際に見るのは初めてだな。




「ドロップは食パン好きかな?」



しょくぱん?

この物体の名前かな?







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