血の雫
「“しょくぱん”食べたことないから、わからないや」
普通に言ったつもりだった。
だから、アキナが驚いたように目を見開いて、驚いた。
「食パン食べたことないの!?」
「う、うん……。
パン自体、食べたことないかも…」
そ、そんなに驚くことなの?
それほどパンというものは、人間界では有名なんだな。
「昨日のオムライスのことも見ると、ドロップはご飯派なのかな?」
「う、うん…」
「そうなんだ。
まぁ、そういう人もいるよね。
ともかく、パン食べてみてよ」
ご飯と言う存在はわからない。
聞いたことあるだけ。
僕はトマトが好きなんだよね。
まぁ、食べてみるか、“しょくぱん”も。
僕はほんのり温かいパンを手に取り、口元へ持って行く。
恐る恐る齧って見ると、サクッという良い音がした。
「……美味しい」
「でしょでしょー?」
アキナが嬉しそうに、自分のパンを齧る。