血の雫
人間そのものは嫌いだけど。
人間界の食べ物は、美味しいな。
人間界の食べ物なら、僕も好きになりそうだよ。
食べ終わった僕は、席を立とうと立ちあがった。
するとアキナに呼び止められた。
「駄目だよドロップ。
ご馳走様って言わないと」
ごちそうさま?
「食べるときにはいただきます。
食べ終わったらご馳走様って言うの。
常識だよ」
常識?
へぇ、そういうのがあるのか。
僕はもう1度席に座りなおした。
「こうやって手を合わせるの」
「……?」
アキナの真似をして、両手を揃えた。
「ご馳走様でした」
「ご、ごちそうさまでした…」
アキナに倣い、僕も少し頭を下げた。
アキナはそれを見て、にっこり笑った。