血の雫
「お父さんしかいないって言ったね。
お母さんは?」
「…………」
僕は何も答えずに黙り込んだ。
僕には、母親がいない。
そのいない原因を、僕は忘れることにしているのだ。
父さんからも、忘れろと言われているしね。
でも、やっぱり無理だ。
忘れることなんて、出来ない。
だって母さんを殺したのは……
間違いなく、
僕なのだから……。
「一人っ子?」
「はい」
僕が一人っ子だから、僕は苦労しているんじゃないか。
もし兄や姉などの上がいたのなら、僕は今でも吸血鬼界にいれたのに。