血の雫
宇津木拓也はその後も色々僕に様々な質問をし終え、それを細かくメモしていった。
「なるほど……」
「拓ちゃん、どう?
ドロップは…記憶喪失なの?」
「…きっとそうだね。
でも、覚えている部分もあるから、完璧に記憶喪失とはいえない。
自分がどこから来てどこへ行くのか、ご両親がどこにいるのか。
わからないのはそれだけだ」
紙を見た宇津木拓也は、僕とアキナを見た。
「多分、暫くしたら思い出すと思う。
焦らないで、ゆっくり思い出すと良い」
僕は頷く。
嘘の頷きだけど。
「ドロップくんの記憶が戻るまで、ドロップくんはどうするんだ?」
「あたしの家に居候させる」
アキナがハッキリ言い放った。
「アキナの家にかい?
確かにアキナのご両親は海外にいるのだから、問題はないだろうけど」
「あたしが最初にドロップを見つけたのよ?
ドロップが記憶を戻すまで、あたしが責任を持つわ」
宇津木拓也はアキナの家に僕が暮らすことを、快く思わないみたいだ。
やっぱり心配なのだろうか?