血の雫







「それとも拓ちゃん、何か不満でもあるのかしら?」

「そりゃあるよ。
ボクはアキナのご両親から、アキナを見守るよう頼まれているし。
アキナのご両親が、アキナがどこの誰かもわからない男を連れ込んでいると知ったら、おじさんが黙っているわけないじゃないか」

「理由を話せばお父さんだってわかってくれるわ」




アキナと宇津木拓也の会話を聞き、僕は納得した。

アキナのお父さんは、アキナを大事に思っているんだ。

人間界の言葉で言う、親馬鹿だ。

アキナがお嫁に行くときも、きっと簡単に許さない人なんだろうな。





「ともかく。
拓ちゃんがドロップをあたしの家に居候させることに反対しても、あたしはドロップを居候させるから。
お父さんやお母さんからもし連絡が来たら、あたしが話すわ」




アキナは穏やかそうな見た目に反して、頑固らしい。

宇津木拓也が何も言えずに黙り込んでしまった。





「……わかったよ。
でも、くれぐれも変なことはするなよ。
ドロップくんは何歳だ?」

「18、ですけど……」

「聞いただろアキナ。
17歳の女子高校生と、18歳の男子高校生が一つ屋根の下で暮らすんだ。
健全な関係を保つんだぞ」

「わかっているわ」



アキナが少し顔を赤くして答えた。

僕には宇津木拓也が何を言っているのかわからなかった。

人間界では、男と女が一つ屋根の下で一緒に暮らすことは、変なことなのか?

……本当、よくわからないな…人間界は。







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