血の雫
次の日。
引き続きアキナの家に居候することの決まった僕は、アキナのお母さんの部屋で目覚めた。
アキナのお母さんが帰ってこない限り、僕はこの部屋で寝ることが決まった。
吸血鬼界にいるときはまだ眠っている時刻だけど。
あんまり寝ているとアキナに起こされるから。
アキナは僕のことを、ちゃんとした“人間”だと思っているから。
正体がバレないためにも、僕は眠気眼のまま下の“りびんぐ”へ降りた。
「おはよう…アキナ……」
「あ、おはようドロップ。
もうすぐで朝ご飯出来るから、座ってて」
ぱっちり目の開けたアキナが、笑顔で応じた。
僕は重い瞼を開け、椅子に座った。
「そうだドロップ。
今朝、拓ちゃんから電話が来てね」
「……うん」
「ドロップ、あたしと同じ高校に通うことになったから」
「……え?」
「ドロップってもう高校卒業しているんでしょ?
だから行かなくても良いんじゃないかって言ったんだけど。
『男のドロップくんを、1人で留守番させるわけにはいかない。
アキナの私物をいじるかもしれないじゃないか』って。
拓ちゃん心配性だからさ……」
……何を考えているんだろうか?あの人は。
僕が1人で留守番中に、アキナの私物をいじるはずないじゃないか。
僕がアキナに関して興味あるのは、その血だけなのだから…。