血の雫
「だからね。
ドロップ、一緒に高校行かない?」
高校、ねぇ。
僕もう卒業しているんだけど。
そもそも、アキナ以外の人間と関わりたくないし。
断りたい気持ちはあるけど……。
「断りたくても…もう、断れないよね……」
アキナが気まずそうに、“りびんぐ”の隣の部屋をチラ見した。
隣の部屋には、男物の制服が置かれていた。
アキナは女で1人っ子だから、あの制服は間違いなく僕のだ。
「拓ちゃんの制服なの…あれ。
拓ちゃん、もうドロップを転校生として高校に紹介しちゃったんだよね。
だからもう…ドロップには悪いけど、後戻りは出来なくて……」
制服だけなら、着なくて良いと断れたけど。
もう高校に手続きをしてしまっているなら、断れない。
「その上ドロップが何かしないよう、あたしと同じクラスらしいの」
僕はアキナより1つ年上だ。
それなのに、アキナと同じクラスなんて。
…まぁ、その分吸えるタイミングが増えるかな?
もしかしたら、
アキナ以外の人間の血を吸うことも可能だろうな。
別にアキナ限定ってわけじゃないし。