血の雫
「ドロップが嫌なら断って良いんだよ。
もう高校は卒業しているんだから。
先生たちには拓ちゃんの手違いでしたって言っておくから」
「……良いよ、アキナ。
僕、アキナと一緒に高校…行くよ」
家で寝ていたいのが本音だけど。
アキナにアイツ―――宇津木拓也の尻拭いはさせたくない。
「良いの?」
「もう手続きしているんでしょ?
ならもう、断れないよ。
アキナと同じクラスっていうのも、悪くないしね」
美味しい血にも会えるかもしれないからね。
それを考えただけで、楽しくなって来た。
「ありがとう!
拓ちゃんには後日、あたしから言っておくから!」
アキナの顔に笑みが広がった。
僕と高校に行くのが、楽しみのようだ。
…素直で、アキナは本当に良い子だ。
「よしっ!
そうと決まれば、早く朝ご飯食べよう?
ドロップの制服姿、あたし見てみたい!」
「あんまり良いものじゃないと思うけど…」
まぁ、アキナが楽しそうなら、良いか。
僕はふっと笑って、トマトジュースを口に含んだ。