血の雫







☆アキナside☆





あたしとドロップは並んで、学校への道を歩く。

あたしの隣にいるドロップが、先ほどから眠そうに欠伸を繰り返している。

可愛いその動作に、あたしは俯きがちだ。




隣にいるドロップは、かっこよかった。




元々ドロップは容姿端麗という言葉がお似合いだ。

生暖かい風に靡く綺麗な銀髪に、深い海のような美しい青き双眸。

それに清潔感漂う白い半そでワイシャツに、紺色を基調とした大人っぽいブレザーとズボンを穿いているその華奢な身体は。

…本当、反則だと思う。

どうしてこんな容姿に恵まれた人が、この世には存在するんだろうか?

そう疑いたくなるほど、ドロップはかっこいい。

イケメンと言う甘い言葉じゃカバー出来ない。



『天は二物を与えず』とかいうことわざがある。

天は生まれてくるとき人間に、良いことを2つも与えないという意味らしい。

でも、ドロップに関しては、1個だけじゃないと思う。

2個や3個、軽々とあげていると思う。

…羨ましいな。

きっとイケメン好きな女子生徒が集まっているクラスだから、ドロップは瞬く間に女子の黄色い声と視線を浴びるんだろうな。




「……アキナ?どうしたの?」

「な、何でもない」



ドロップは…本当、素敵な人だ。

あたしには勿体ないぐらいに。







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