血の雫
校長室へ向かう廊下を歩く途中、聞いてみることにした。
「ドロップは、親しい友達とか恋人とかいたの?」
ドロップは欠伸を途中でやめた。
そして哀しげな瞳を、天井へと向けた。
「……いないよ」
ぽつり、とドロップは呟く。
まるで、独り言のように。
何でそんなに…寂しそうなの?
何でそんなに…哀しそうなの?
ドロップ、学校で何かあったの…?
「ドロップ人気者だよねぇ」
「…そう?」
「うん。
やっぱりその見た目、凄く目立つよね」
「……ん、ありがと…で、良いのかな?」
哀しげにニコッと笑うドロップ。
その無理矢理作ったような笑顔に、あたしは胸が締め付けられる思いをした。
ドロップ…何かあったんだ。
前の学校で。
嬉しいこと、楽しいことじゃなくて…何か辛いこと。
辛いことがあったと…その笑みが語っているように見えた。