血の雫
第3章
★孤独
★ドロップside★
校長先生は、白髪交じりの気弱そうなオジサンだった。
オジサンは僕が名乗ると、担任を呼んだ。
その間、アキナは寂しそうな表情のまま俯いていた。
担任が自己紹介をする中、僕はふと先ほどの出来事を思い出していた。
友達、か。
そんなの、僕に存在しない。
だから素直にいない、と言ったのに。
アキナは寂しそうにしていた。
アキナ。
君は本当に、優しすぎる。
どこの誰かもわからない僕に、優しすぎる。
僕はアキナを、傷つけないといけないんだよ?
綺麗なアキナの首筋に噛みつく僕を想像して、僕はアキナから見えない位置の右手を強く握った。
爪が皮膚に刺さって、少し痛みを感じた。
爪、切らないと…なんてのんびりと思う。
僕に、アキナを傷つけることなど出来るのだろうか?
傷つけないと死ぬとわかりながらも。
優しい、素直なアキナ。
どうしてそこまで僕に優しく出来るのか、その理由はわからないけど。
僕は一体…どうしたいのだろうか……?