血の雫
☆☆☆
「今日から皆の仲間になる、ドロップくんだ」
「……初めまして」
小学生を紹介するみたいな言い方だな、と担任に突っ込みながら、僕は小さく頭を下げた。
廊下側の1番後ろの席にいるアキナが、僕を見て小さく笑った。
「ハーフなんですかー?」
教卓に最も近い席の女子が、僕をキラキラした瞳で見てきた。
その首筋についたネックレスを見ながら、僕は頷いた。
「彼女いますか!?」
同じ女子が、興奮した様に聞いてくる。
彼女、か。
別に僕、そういうの興味ないんだけど。
「いませんけど…」
「じゃあ、アタシ彼女に立候補しちゃおうかなー?」
「ずるーい!
アタシも彼女に立候補したいでーす!」
それから口々に「アタシも!」「ワタシも!」と言って行く女子たち。
「僕、彼女作る気ないので……」
人間の彼女なんて、作れるわけないじゃないか。
僕とは人種が違うんだから。
君たちの血は、欲しいと思うけど…ね。