血の雫
「わからない……?」
何が……?
「僕、どうやって女子とかに接すれば良いのか、わからない。
誰かにああして囲まれるの…久しぶりだったから……」
「そうなの……?」
ドロップは目立つ容姿をしているし、その顔立ちは整っている。
だからどこに行っても、誰かに囲まれる、人気者だと思っていた。
だけど、その思いは違うらしい…。
「普段は、教室の片隅で、静かに本を読んでいたからさ…僕」
振り返って笑ったドロップは、笑顔を浮かべていた。
その笑顔は、凄く悲痛だった。
「友達とか、彼女とか、いないんだ、僕。
教室では目立たなくて、誰にも相手にされなかったんだ」
「ドロップ…目立つのに……?」
「いくら見た目が目立っていても、僕に取り柄なんてないから、誰も相手にしてくれないよ。
最初は、物珍しいみたいで近寄って来てくれたけどね。
僕の性格を知った途端、誰も僕に近づかなくなったよ」
見た目だけ目立っても、中身が目立たなければ、意味がない。
ドロップは今にも泣きそうな笑顔を浮かべていた。
「だからさっき…少し疲れたよ。
あんなに質問攻めにあったり、話しかけられるのは、本当に久しぶりだから」
ドロップは教室を出る寸前、凄く震えていた。
女子たちは気がついていないみたいだったけど…。