血の雫
☆アキナside☆
あたしたちの話し声と息遣いしかしない静かな空間。
いつもは嫌だなと思う暑さも風も、心地よく感じた。
きっと、隣にドロップがいるからだ。
ふと、右肩に軽い何かが乗った感覚がした。
振り向くと、ドロップの頭があたしの右肩に乗っていた。
どうしたのだろう?とその顔を覗いてみると、ドロップは規則正しい息遣いを繰り返していて、その瞳は閉じられていた。
もしかしてドロップ…寝ているのかな?
小さく声をかけてみるけど、返事はない。
…寝ちゃったんだ。
あたしはもう1度、その顔を見た。
風に靡く綺麗な銀髪に、幼い寝顔。
あたしは思わず、クスッと笑みを漏らした。
自分のことを“僕”と言うドロップだけど、その見た目や言葉遣いは大人びていて。
1人でも立派に立っていそうな雰囲気を醸し出していた。
でも、あたしの右肩に頭を預けて眠るドロップは幼く感じた。
無防備なその幼い少年のような寝顔が、可愛いと思った。
完璧そうに見えるけど。
大人っぽく見えるけど。
もしかしてそれは、誰かに作りだされただけなのかも。
ドロップ自身は、こんなに幼く見えるのだから。