血の雫
★ドロップside★
生暖かい風と太陽の強さで、僕はゆっくりと瞼を開いた。
そして斜めに映っていた視界を、元に戻す。
重たい目をこすりながら、僕は横に座るアキナを見た。
あどけない表情のまま、穏やかな寝息をたてていた。
僕と一緒に、寝たんだな…。
その寝顔を見ながら、僕はゆっくりと微笑んだ。
しかしすぐに、我に返る。
…今がチャンスだ。
アキナの首筋に、僕の持つ牙をたてるのには。
清潔感漂う白いワイシャツから見える、アキナの白い肌の首。
クラスの女子のように、ネックレスなどと言った余計なモノはついていない。
…好都合だ。
僕は音を立てないよう、アキナの首筋に近寄り、鋭い牙をたてた。
後数センチで牙が食い込むという…その時に。
風により、アキナのにおいが僕の鼻孔をくすぐった。
シャンプーのにおいだ。
ふんわりした良い香りで、僕も気に入っている。
これが…アキナのにおい……。