血の雫
教室に戻った僕らは、何事もなかったかのように着席した。
さっき僕を囲んだ女子たちは、僕を遠ざけるように見ていた。
あんまり関わるつもりなんてないから、僕には好都合だけど。
「では、木之上たちも帰ってきたことだし、今からテストを行う」
先生の言葉に、クラスメイトが一斉にブーイングし始めた。
テスト…かぁ。
確かに聞きたくない単語ではあるよねぇ。
プリントが配られ、僕は裏向きにされていたのを表向きに直した。
氏名の欄に名前を書いていると、先生が僕の近くに来た。
「君は今日転入してきたばかりだろ?
前の学校で習っていない範囲だったら、白紙でも良いからな」
「はい」
先生が行ってから改めて問題文を見る。
教科は数学。
存在は知っているけど、言っている意味はわからない。
こんなの、吸血鬼には必要ないのだから。
僕は辺りと先生を見渡した。
先生は生徒が不正行為をしないよう見張り、生徒は一生懸命にプリントを解いているのを確認すると、小さく右手をパチンッと鳴らした。
こういうのも多分不正行為なんだけど、良いよね。
指を鳴らした途端、近くに置いてあったアキナから借りたシャーペンが浮き上がる。
そしてサラサラとプリントを埋めて行った。