血の雫






カタン、とシャーペンが机に落ちたので、プリントを見た。

答えは全部、埋まっている。

僕は裏面の白紙の部分を上向きにした。




カンニングじゃない。

シャーペンが勝手に問題を解いてくれたんだ。

悪く思わないでね。

留年とかいうの、僕やりたくないからさ。

最終手段ってやつだよ。





「終わったかー?
じゃ、後ろから集めて来い」




1番後ろは僕。

立ち上がって、列のプリントを全部集め、先生へと持って行った。





「習っている所だったか?」

「はい」




僕は笑うと、自分の席へ戻った。

採点はすぐやるらしく、採点が終わるまで自由時間となった。




「ドロップ出来た?」



前のアキナが体ごと後ろを向いてきた。



「うん、まあまあかな」



本当は僕がやったんじゃないんだけどね。







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