血の雫
にしても、どうしようか?
なんとか木の下に来たのは良いけど。
暑くてたまらない。
このままいたら消滅してしまう。
どうにかして涼しい所に行かなくちゃ。
でも、動けない。
荷物は何が入っているのか知らないけど、やたら重いし。
ここがどこだかもわからないから、下手に動けないし。
あー、八方塞がりじゃないか。
「どうしたの?」
突然頭上から声が聞こえて、薄っすら目を開けた。
僕の顔を覗きこんでいる、1人の女―――。
黒髪に日焼けしていない白い肌、半袖の制服姿。
高校生ぐらいだと思う、人間の女だった。
「…もしかして、熱中症かな?」
女は僕の額に手を当てた。
ひんやり冷たくて、良い感じだ。
言っておくけど僕、変態じゃないから。
今の感情は、誰でも感じるはずだ。
もう1回言っておく。
僕、変態じゃないからな!?
わかっているでしょ!?
…何で僕、こんな必死に弁解しているんだろうか?
まぁ、良いや。
気にしないでおこう。
変態じゃないからな?
しつこいって突っ込むなよ。
変態じゃないからな?