血の雫








太陽を見つめていると、隣でアキナが鞄を開けて何かを探していた。

暫く見ていると、アキナが鞄から取り出したのはスマホだった。

アキナは普段ケイタイをいじることがなかったから、スマホを持っていることがとても意外だった。





「一緒に写真撮ろう?」

「良いよ」




アキナが太陽をバックにスマホをかまえた。




「ドロップ、この画面に入るよう並んで!」

「うん!」




アキナと密着するように立つ。




「はい、チーズ!」

パシャッ




「うわぁ!良いのが撮れた!」

「良かったね」




画面を操作しながらニコニコ笑うアキナを見て、僕は自然に笑えた。





思えば人間界に来る前は、僕はあんまり笑わなかったな。

毎日のようにムーンライト家を継ぐ勉強をさせられて、外にも出なかった。

一日中部屋にこもっていたから、ご飯の時でしか誰かと話さなかったし。





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