血の雫
第4章
★バレた正体
それから1週間。
僕は問題なく過ごしていた。
朝重たい瞼を頑張って開いて、アキナの手作り朝食を食べて、学校へ向かう。
クラスメイトにすれ違いざま挨拶をして、普通に授業を受けて。
お昼になればアキナ特製のお弁当を食べながらアキナと話して。
午後の授業を寝たいのを我慢して受けて、アキナと帰宅。
夜ご飯食べて、お笑い番組とか観て爆笑して、「寝ろ寝ろ…」と自らに暗示をかけて眠りに落ちて。
普通の人間の男子高校生と変わらない生活を、僕は送っていた。
内心、吸血鬼としての焦りもあった。
でも、人間界での生活が楽しいとも思い始めてきたんだ。
クラスメイトは優しくて。
授業が終わる度に、僕の所へ「勉強教えて」と来る男子。
体育のバスケの試合でシュートが成功すると「凄い!」と褒めてくれる女子。
その声が、僕は嫌じゃなくなって来た。
もしかしたら僕は、取り戻しているのかもしれない。
吸血鬼界での高校生活は、決して楽しいものではなかったから。
むしろ早く終わってくれないかと、毎日願っていたほどだ。
それなのに、今は凄く楽しく、充実している。
吸血鬼界にいた時過ごせなかった充実した学生生活を、僕は楽しんでいるのかもしれない。
転入したての時はちんぷんかんぷんだった授業も。
今ではクラスメイトに教えてあげたり、テストの時能力を使わなくても解けるようになったほど、僕は理解してきていた。
この間終えた定期試験では、堂々の学年1位を獲得し、先生に褒められた。
クラスメイトやアキナにも「凄い」などと騒がれた。
こんなに騒がれたこと、初めてだから。
恥ずかしくなった半面、嬉しさも感じたんだ。