血の雫
「大丈夫アキナ?」
「木之上さん平気?」
「大丈夫だよ。
少し血が出ちゃったくらいだから」
隣の席の女子に、右手の人差し指を見せるアキナ。
その人差し指からは、真っ赤な鮮血が流れていた。
「…………」
「…ドロップ?」
僕の隣の席の男子が、僕を呼ぶ。
だけど、僕の耳には届いていなかった。
血、だ。
アキナの、血。
「ドロップ……?」
「…………」
アキナと女子が、僕を見る。
クラス中の視線が、僕へと集まった。
僕は無意識のうちに、アキナの右手を掴んでいた。
ダメ。
離サナイト、ダメ。
抑エナイト、ダメ。
デモ、
ボクは―――……。