血の雫
「多分熱中症だと思うよ。
どこから来たの?」
僕の隣にしゃがみ込んで、女は聞いてくる。
なんて答えようか?
吸血鬼界などとは言えないし。
だからといって知り合いはいないし。
…えっと……。
「もしかして迷子?」
迷子…。
僕一応ムーンライトを卒業したんだけど。
ちなみにムーンライトっていうのは、人間界で言う高校。
小学校とか中学校も存在するんだよねー。
まぁでも、僕の年齢は人間界の高校生と同じ年じゃないけどね。
詳しくは言えないけど、軽く100は超えているよ。
吸血鬼界は人間界と違って、年月のスピードが速いから。
人間たちが0歳の時に、僕ら吸血鬼は10歳って感じにね。
だから僕は100を超えているけど、そんなに年寄りじゃないんだ。
てか、呑気に説明している暇じゃないよ。
迷子って言われるような年じゃないけど、その他に行くところもないし。
迷子って素直に認めた方が、早いかな……?
本当は認めたくないけどね。