血の雫
☆アキナside☆
あたしはドロップから、目を離せないでいた。
あたしだけじゃない。
隣の席の子も、ドロップの隣の席の男子も、クラスメイト全員がドロップに釘付けだった。
だって、あたしの右手首を掴むドロップの目は、凄く―――怖いから。
いつもは宝石のように綺麗な青い瞳をしているのに。
今は深海のように、深く沈んだ色をしていた。
いつも幼い少年のような無邪気な笑顔を浮かべているドロップからは想像もつかないほど、異様な雰囲気が漂っていた。
「ドロップ……?」
ドロップの男子にしては細い手が、あたしの右手首を掴んで離さない。
ゆっくりとその力は強まっていく。
次第に痛みを感じてきて、あたしは顔を歪めた。
「ドロップ、離して…痛い」
話しかけても、ドロップは無視だ。
ただジッと、あたしの右手の人差し指を見つめるだけ。
ドロップが怖い、なんて。
思ったことないのに。
あたしを、正体のわからない恐怖心が襲っていた。