血の雫
ドロップは焦点の合わない瞳のまま、あたしの右手を自分の方へと引き寄せた。
それと同時に、右手首を掴む強さも、酷くなっていく。
あたしの皮膚に、ドロップの右手の爪が食い込んでいた。
ペロッ
静かな教室に、
ドロップがあたしの人差し指を舐めた音だけが響いた。
「……ッ!?」
人差し指に感じた、ドロップの舌の感触。
当たり前だけど感じたことのない独特な感触に、あたしの体は無意識にビクッと反応した。
クラスメイトは驚いて、何も言えなくなっていた。
ドロップが舐めたから、人差し指についていた血は消えていた。
だけど止血したわけじゃないから、再び針で刺した場所から、血が流れる。
「……」
「……ッ!!??」
あたしの体は、無意識に震えだした。
思わずさほど親しくない隣の席の子に、助けを求めてしまった。