血の雫







ドロップは焦点の合わない瞳のまま、あたしの右手を自分の方へと引き寄せた。

それと同時に、右手首を掴む強さも、酷くなっていく。

あたしの皮膚に、ドロップの右手の爪が食い込んでいた。





ペロッ





静かな教室に、

ドロップがあたしの人差し指を舐めた音だけが響いた。





「……ッ!?」





人差し指に感じた、ドロップの舌の感触。

当たり前だけど感じたことのない独特な感触に、あたしの体は無意識にビクッと反応した。

クラスメイトは驚いて、何も言えなくなっていた。





ドロップが舐めたから、人差し指についていた血は消えていた。

だけど止血したわけじゃないから、再び針で刺した場所から、血が流れる。





「……」

「……ッ!!??」




あたしの体は、無意識に震えだした。

思わずさほど親しくない隣の席の子に、助けを求めてしまった。





< 81 / 141 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop