血の雫
ドロップはあたしを見て笑顔を消すと、その牙を強調させるように口を開いた。
鋭く尖った長い2本の牙が、蛍光灯に当たってきらり、と輝く。
そしてドロップは、
その2本の牙を、あたしの人差し指へと突き刺した。
「………ッ」
痛みは正直思っていたほどないけど、当たっている感覚はある。
その牙があたしから離れると、その部分からは血が流れていた。
今血が出ている場所は、先ほど針で刺した場所じゃない。
ドロップが自らその牙で、あたしの人差し指に突き刺したんだ。
新しく流れ始めた血を、ドロップは再び舐めた。
舐める度、あたしの体はビクッと震える。
ドロップは、吸血鬼…なんだ。
人間じゃ、ないんだ……。
「…何しているんだ?お前ら」
家庭科の先生が、のんびりとした声をあげた。