血の雫
「ねぇ木之上さん。
木之上さんって、ドロップくんと一緒に暮らしているんだよね?」
「う、うん……」
「ドロップくんって…吸血鬼、なの?」
やっぱり皆、同じことを思っていたんだ。
「わからない……」
あたしは、そう言うしかなかった。
だって、あたし自身もわからないんだもの。
「木之上さん、どうしてドロップくんと一緒に暮らしているのよ」
「……実は」
あたしはクラスメイトに全て話した。
ドロップがある夏の日、木の下でぐったりしていたことを。
そして自分がどこから来てどこへ行くのか、覚えていなかったことを。
「木之上さん、どこの誰かもわからない人と一緒に暮らしていたの!?」
「うん…」
「怪しいとか思わなかったのかよ!」
「そ、そりゃあ思ったよ。
だけど、行く宛てもない人を放っておけなくて……」
「ご両親何も言わなかったの?」
「あたしの両親、海外にいるから…。
ドロップが来るまで、あたし1人暮らししていたんだ」
ドロップの存在を知っているのは、拓ちゃんだけ。
両親にも、あたしは何も言っていない。