血の雫
「「「…………」」」
クラスメイトは黙ってしまった。
そりゃそうだよね…。
クラスメイトだと思っていた人が、まさか人間じゃないなんて。
ドロップと一緒にいたあたしも、まだ信じられないよ。
だけど……。
あたしは自分の右手の人差し指を見た。
すでに止血している、2つの傷口。
1つはあたしが針で刺したもので、もう1つは…。
あたしは思いだす。
ドロップの口から見えている、鋭い牙を。
あれがニセモノとは、思えない。
本物だと思う……。
「……でもよくよく考えたら、可笑しいよな」
「橋本くん?」
「だってアイツ、見た目とか人間離れしているだろ。
名前だって、ドロップ・ムーンライトとか変わっているし。
同棲の意味もわからなかったんだぜ?」
そういえばドロップは、家にいるときも、少し変わった発音の仕方をしていた。
ドライヤーの使い方とかもわからなかったみたいだし。
記憶喪失のせいかなって気にしていなかったけど。
もしかしたら、聞いたことのない単語だったのかもしれない。
トマトが好きなのも、吸血鬼が出てくる漫画とかで見るし。