血の雫








「「「…………」」」




クラスメイトは黙ってしまった。




そりゃそうだよね…。

クラスメイトだと思っていた人が、まさか人間じゃないなんて。

ドロップと一緒にいたあたしも、まだ信じられないよ。




だけど……。

あたしは自分の右手の人差し指を見た。

すでに止血している、2つの傷口。

1つはあたしが針で刺したもので、もう1つは…。




あたしは思いだす。

ドロップの口から見えている、鋭い牙を。

あれがニセモノとは、思えない。

本物だと思う……。





「……でもよくよく考えたら、可笑しいよな」

「橋本くん?」

「だってアイツ、見た目とか人間離れしているだろ。
名前だって、ドロップ・ムーンライトとか変わっているし。
同棲の意味もわからなかったんだぜ?」




そういえばドロップは、家にいるときも、少し変わった発音の仕方をしていた。

ドライヤーの使い方とかもわからなかったみたいだし。

記憶喪失のせいかなって気にしていなかったけど。




もしかしたら、聞いたことのない単語だったのかもしれない。

トマトが好きなのも、吸血鬼が出てくる漫画とかで見るし。






< 87 / 141 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop