血の雫
1つ思いだすと、色々なことが蘇ってきた。
それをドロップが吸血鬼だと知れば、納得がいくことばかりだ。
あたしとドロップが初めて出会った時もそうだ。
なんであんなにぐったりしていたのか。
熱中症などと言ったものじゃなかったんだ。
あの時丁度昼真っ盛りだったからだ。
吸血鬼であるドロップは、太陽が苦手だったんだ。
朝常に眠そうにしていた。
低血圧なのかな、とか考えていたけど。
吸血鬼の活動の時間帯は夜だから、昼間は寝ているんだ。
普段の活動時間じゃなかったから、あんなに眠たそうだったんだ。
しかもドロップは昼間カーテンを閉めている。
太陽が眩しいから、とか言っていたけど。
太陽は吸血鬼の敵だから、そんなこと言っていたんだ。
普通と変わった男の子だな、とは思ってた。
だけど、吸血鬼だとわかれば、全ての辻褄が合う。
人間じゃないのだから。
普通と変わっていて、当たり前だったんだ。
あたし、ドロップが好きだと気付いたけど。
人間と吸血鬼の恋って、ありなの?
人種が違うのに。
どうしよう、あたし。
どうすれば、良いんだろう―――…。
結局ドロップは、次の授業が始まってからも、教室に戻ることはなかった。