血の雫
★世界へ帰る時
★ドロップside★
最低。
最低。
最低だ、僕は―――。
保健室へ行く、と先生に嘘をついて僕は教室を飛び出した。
あの場所に、いることが出来なかったんだ。
バレた。
バレた。
僕が吸血鬼だって、バレた。
「……っはぁ、はぁ、はぁ………」
教室を出てから全速力で走って来た。
無我夢中で走って辿り着いたのは、前にアキナが宇津木拓也から聞いたという場所。
相変わらず草木が生い茂る道を通り、アキナと並んで座った場所に腰かけた。
何しているんだ、僕は。
僕はそっと、自らの手で自分の持つ牙へ触れた。
鋭く尖った、生まれつき僕の口内にある、吸血鬼の証。