血の雫









「……うわあああっ………」




僕は頭を抱え込んだ。





何で。

何で。

どうして?

どうして僕は……






「吸血鬼なんだ……」





どうして人間じゃないんだ。

どうして吸血鬼なんだ。

どうして、

―――アキナと同じ人種じゃないんだ。





“人間に吸血鬼とバレたら、吸血鬼界へ戻る”




吸血鬼界に代々受け継がれてきた、絶対に守らなくてはいけないルールだ。

かつて人間界に降りた僕も、そのルール通り自分の住むべき本来の世界へ戻った。

あの時は戻りたくて仕方なかったから、急いで戻ったけど。





今は、違う。







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