血の雫
僕は机にかけられている鞄を、机の上に置いた。
そして機械のように、机の中に仕舞われている教科書などを鞄へ詰めた。
そのまま後ろへ行き、明日も使うため置いて行こうと朝は考えていた体操着を取った。
「……ドロップ?
明日、体育で使うよ……?」
今まで俯いていたアキナが、不思議そうに僕を見た。
僕は体操着を机の上に置くと、アキナを見た。
アキナと目を合わせて出来る限り笑った僕は、クラスメイトを見た。
……僕、上手く笑えているかな?
「…今までありがとう」
「え?」
「どういう…ことだよ」
橋本が僕に聞いてくる。
「……僕、帰るから。
自分の…住むべき世界へ」
「ドロップ……?」
アキナ。
お願いだから、そんな潤んだ瞳で見ないで。
折角決めたことなんだから。
揺るがせないでよ……。