血の雫









教室を出て扉を閉める。

そのまま僕は、校門へ向かって駆け出した。






「……ッ」





良いんだ、あれで。

僕の記憶を、最悪な形で終わらせて。




アキナの血、美味しいわけないじゃん。

むしろ二度と飲みたくないよ。

不味かったわけじゃない。

ごく普通の味だった。

だけど、僕がアキナを傷つけたという罪悪感。

それしか残らないんだ。




テストもバスケの試合も、あれは全部僕の実力だ。

能力なんて持っているけど、一切使っていない。

使ったのは、転入初日のあの1回だけだ。

それ以外は全て、僕の実力だ。





でも、良いんだ。

最悪な形で終わらせて良いんだ。

その方が、僕もクラスメイトもアキナも、辛くないだろ。

最悪な僕で、良いんだ。




だって元々、わかり合える存在じゃなかったのだから。

理解し合える存在じゃなかったのだから。








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