血の雫
「……馬鹿だな」
「父さんッ………」
「…そんなに泣くなら、普通に別れれば良かっただろ」
「ぼ…僕……泣いていないも、ん……」
「鏡見ないとわからないのか」
校門で僕はその場にうずくまった。
目から熱い涙が溢れてきて、地面に吸い込まれていく。
駄目だなぁ僕。
吸血鬼失格だよ。
こんなに苦しむなら、あんなにクラスメイトやアキナと関わらなくて良かったのに。
でも、楽しかったんだ。
どうしようもなく、楽しかったんだ。
クラスメイトは優しくて。
人と関わることを苦手としていた僕なのに、あんなに楽しめたのは初めてだったんだ。
人間は最悪だとばかり思っていた。
だけど、皆は違った。
僕が何かすると自分のことのように喜んでくれた。
あの過ごした1週間は、今までで1番楽しかったんだ。
アキナも、そう。
人間界で不慣れな僕に、凄く優しくしてくれた。
死ぬかもしれなかった僕を助けてくれて、一緒に暮らそうと言ってくれた。
例えその誘いが、アキナ自身の寂しさを紛らわすために僕を利用したとしても。
あの笑顔や言葉は、嘘じゃなかったはずだ。