妖精的な彼氏
「あんたなんかねえ、遊ばれてるだけなんだよっ!タケル君にさあ!!」

あはははは、と狂ったように叫び続ける高城さん。

そんなこと、あるわけない。

タケル君に限ってあるわけない。

そう思っていても涙が出てきた。

ホントに遊ばれてるだけだったら・・・・・・?

そのとき、バンッと扉が開く音がした。

「・・・・・・ここにいたんだ。」

この声は・・・・・・なんで・・・・・・。

笑っていた高城さんの声が不意にとまる。

それから壊れたマリオネットみたいに、高城さんのスラリとした肢体がどっと崩れ落ちる姿が、少しずれた布の間から見えた。

「なんで・・・・・・タケル君が・・・・・・」

アタシが言うと、タケル君は言った。

「僕だけじゃないよ。・・・・・・みんないるから。」

ぐい、と抱き寄せられた。

あったかい。

つめたくない・・・・・・。

アタシは、ぼろぼろと涙を零した。

傷だらけの顔に涙はしみるけど、泣いた。
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