たとえどんなに。
「だったら、付き合えっていうの?」

無表情で問う梢に

「うん、私なら。」

淡々と答える葵。

二人ともすごいね。

自分の考えをしっかり持っていて。

私なんてわからなくて

梢に頼りっぱなしで。

ここで断ったら前の関係に戻れないのが怖い

ここで付き合ったら陽菜を傷つける。

それが怖い。

世界は怖いで満ちていった。

付き合いたい。

実を言えばそうなのかもしれない。

好きなのかもしれない。

でも、私が幸せにできるとは思えない

今までのように傷つけ、壊してしまう。

そう考えたら怖くて怖くて。

陽菜のあの明るい笑顔が浮かぶ。

へんまの元気な笑顔が浮かぶ。

・・・好き・・・

この心にかかった靄の正体は。

気づいてしまったのかも。

残酷な運命の歯車を動かすスイッチを
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