たとえどんなに。
体育館の外へ

足が勝手に向かう。

体育館を出ると晴天の空が

灰色に染まりはじめたところだった。

周りを見渡せば山、田

自然の中へ私は駆け込んだ。

誰もいない。

一人きりの場所

ひたすら坂を上り

山へ山へと近づいた。

声を荒げただただ泣いた。

山のふもとのさみしい公園で

一人うずくまった。

体育館は結構遠くに見えた。

私の上ってきた坂の下で

みんなが必死に私を探すのが見えた。

雨が降る。

強く強く私を打ち付け

びしょびしょに私を濡らした。

雨が涙をかき消し

私の視界を拒んだ。

空は黒く染まった。

視界は黒くなり

私を探す声も次第に小さくなる。

雨がかき消してくれた。
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