たとえどんなに。
時間がたつにつれ

服も濡れ

誰も私が泣いているとはわからないぐらい

濡れていた。

坂の下、傘をさした人が

声を張り私を探す。

私はその小さく見える人を

見つめていた。

次第に増える携帯の着信。

メールの数々

坂の下の人の人数。

誰も、坂の上まで来ないことに安堵した

誰もいないここで

果てれればいいのに。

このままだったら逝けるのかな

そんな考えが頭に浮かぶ

人がどんどん増える。

私は仕方なく

坂を下りることにした。

これ以上大ごとになっても困る。

いや、靖のせいにできるのかな?

なんてね。

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