たとえどんなに。
あなたを好きになれなくて。

あなたの想いを理解できなくて。

あなたを佑馬の身代わりにしてしまって。

私のせいで傷つけることになってごめん。

私の軽率な行動がまた

関係ない人の未来を奪ってしまった。

ごめんなさい。

あなたの歯車を

狂わせてしまってごめんなさい。

そんなあなたの愛を私なんかに

注いでくれてありがとう。

「別れよ・・・」

涙を流した私はぬぐうこともせず

聖夜に告げた。

これ以上一緒にいたら

よけい聖夜を傷つける。

私を愛してくれた人をこれ以上傷つけたくはない

目を丸くした聖夜は私をみつめ

悲しそうに言葉を出した。

「わかったよ・・・」

そう言って私に出会ったころの

優しげな笑顔を向けてくれた。

その奥の闇を隠した笑顔。

帰り際。

「許さない・・・」

小さくつぶやいた声は私の耳の届いてしまった。
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