たとえどんなに。
梢が書庫から帰ってきたとき

私は梢のベッドで寝ていた。

呆れてように私を見つめ

パジャマに着替えさせようと私の服を脱がす。

私はあまりの寒さに目を覚ました。

「え・・・」

梢の声を驚いた顔。

大きな瞳がとらえていたのは・・・

私の肩の傷だった。

「峯のやろう、ゆるさねえ」

そう言って怒りに満ちた瞳を携帯に向けた。

違う、違うんだよ梢。

これが佑馬の傷ならどれだけよかったことか

私は何も言えず梢のベッドに座った。

静かな部屋に鳴り響いた梢の携帯

画面とにらめっこの梢

無表情の私。

「はぁ?」

怒りを含んだ梢の声。

「そういうことか。」

1人納得して私を見つめると

梢は何も言わずに私を抱きしめた。
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