たとえどんなに。
親のくせに童顔で

黒い髪を胸元で緩く巻いて

少し下がった目じり。

優しそうな雰囲気を醸し出した私の母。

少しメイクを頑張れば

大学生くらいには見えそうな母。

私の自慢の母。

引き出しの奥にしまった母の日記。

母は何も憎んではいない。

そして最後まで私たちを支えようとした。

私のための笑顔。

父のための笑顔。

棺の上に飾られた写真に写った母。

私の入学式。

桜の下で撮った写真。

母の横には私も父もいた写真。

その写真で微笑む母の顔は

死に際と何一つ変わらない。

私たちは何度も母の笑顔に救われた。

父とけんかした時も

母はいつも優しく見守って

「喧嘩はそこまでよ。

 おやつにしましょ。」

そう言って静めてくれた。

母の笑顔があったから。

私も笑えた。
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